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各種支援案

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各種の機器や通信手段を用いれば、文献[5-11]で試みた方法を犬で実現できると思います。基本的には、犬が自動的に表出されたアラーム音などを聞くと、飼い主のそばに駆け寄り、登載機器を介した各種の情報呈示を行います。あるいは、言語命令を聞き分け、なくした物を探してくるようにします。飼い主の移動時はその右後ろについて歩きます。これは右利きの場合、右手で物を置くことが多く、右後ろからだと犬のカメラで映像が取りやすいからです。さらに、飼い主が立ち止まったら前方に出て、飼い主の右斜め前から映像を取ったり、胴衣のパソコンの画面を見せて、情報を呈示するよう訓練します。 犬が同行できないような場合や場所では、飼い主は犬からPCなどを取り出し持ってゆきます。帰ったら、再びそれを犬に登載します。
具体的には以下の1から9に、カテゴリー別支援案とその実現方法を列挙します。各支援項目の冒頭には、文献例[5-11]の経験から、すぐにできそうな支援を○、実現可能性のあるものを△、技術の進歩があれば可能になると思われるものを*としました。実際に訓練すれば、どの支援項目の訓練が容易か、どの順序で機器を搭載していったらよいかなどが順次明らかになってくるでしょう。

1 癒し支援 
○ 犬自体そばにいるだけで、毛触りや顔の表情から癒しをあたえることができる。怒りや不安感の鎮静化などの効果もある。仮に支援犬として不十分でも、癒しにはなる。
○ 物を投げ、それを取ってこさせたり、物を引っ張るなどのゲームを楽しむ。
○ PC、スマホ、ICレコーダーなどから設定時のアラーム音などを出せば、飼い主のそばに行くように犬を訓練する。そして、上記の機器から好みの音楽や動画が出ている間は、飼い主から離れないように訓練する。その際、飼い主に対しPC画面のある側の胴体を見せるように座る。

2 スケジュール支援
○ PC、ICレコーダー、スマホなどから、予定の用件を音声録音し、その表出時間を介護者などが設定して入力する。用件の前には一定のアラーム音を出す。犬はそのアラーム音が出たら、飼い主のところにゆく。そして、飼い主は直後に出てくる用件を聞き、それを遂行する。
○ 服薬や日記の記入などは、飲むべき薬や水、日記が必要である。そこで、それらを犬にあらかじめ搭載しておくか、くわえて持ってゆくようにする。財布なども犬に登載し、飼い主の後を追わせればもち忘れが減ろう。
○ PC画面に用件を呈示、設定時の音が出た時にそれを飼い主に見せ遂行を促す。終わったら、飼い主に画面上のボタンを押してもらい、「終了」を入力させる。その「終了」入力がない時は、一定時間後同じ呈示を繰り返す。
△ 犬の能力が許せば、課題ごとにアラーム音を変える。例えばA音はトイレに誘う、B音は薬ケースを持ってくるなど。または、音の違いに応じて目的別に分けたバックなどを持ってくるようにする。
* 用件を呈示しても飼い主が動かないときは、犬が飼い主をタッチして促すようにする。例えば、朝などは設定時の音を聞いた後、寝ている飼い主のそばに行き、タッチして起床を促す。
* 犬が機器から表出された音声言語の理解が良いようなら、それらをICレコーダーやPCから出しても良い。そして、例えば「薬」とICレコーダーが言うと、それをもってくるようにする。「薬」専用の音やメロディで行ってもよい。
* 各種の生活音の音に反応して望ましい行動がとれるようにする。例えば、玄関のチャイムの音が鳴り、来訪者が入ってきたら、その音を認識して自動的に録画を開始する。
* 薬の二重飲みなどを防ぐため、用件遂行行動のモニターは重要である。例えば、胴衣のポケットを開けて「薬」を取ったら、自動的に介護者に送信するシステムを作る。
* 用件遂行の指示後、飼い主の行動をビデオカメラでリアルタイムにサイトに送る、または録画像をアップする。介護者はスマホなどでサイトにアクセスして服薬を確認し、必要なら追加の指示などを行う。
* 動作認識ソフトを用いて、例えば服薬動作を自動認識し、その結果を介護者に通知する。

3 会話支援
○ アラーム音がなったら、飼い主のところに行く。そして、予定されていた友人とテレビ電話機能などを使った遠隔会話をする。逆に友人から会話希望があった時は、その着信音を聞きつけ飼い主のところに行く。
△ 会話相手がいない場合は、PC画面にアニメエージェントなどを設定時に登場させる。そして、エージェントからの質問に飼い主が答え終わってから、次の質問に移るなどの方式で会話を楽しむ。
* PCに音声認識会話システムをインストールする。飼い主がそばにいる犬に問いかけると、そのシステムから答えが出せるようにする。例えば、「今日はデイに行く?」、「行く日ですよ」などの応答をする。認知症をもつ飼い主は、同じ内容の質問を繰り返すことが多い。従って、質問内容の事前予想も容易であり、比較的高い音声認識の精度が期待できる。

4 記録支援
○ 一定時間ごとのアラーム音で、飼い主のところに犬が行き、それまでの行動を登載マイクから飼い主に声で録音してもらう。例えば、食後すぐに行き食べたものなどを録音してもらう。それらを自動で文字に変換し、後からそれらの履歴などが検索できるようにする。
* カメラを稼働し、一日の行動を記録する。終始、あるいは必要時、飼い主を追うようにする。予想されるバッテリーの交換時間が来たら、それをICレコーダーなどから飼い主や介護者に教え、予備のバッテリーに替えてもらう。予備のバッテリーは犬に登載してもよい。あるいは、犬自ら充電器のそばに行き、送電してもらう。
* 一日の行動を記録したら、それを介護者などがPCに転送する。または、アラーム音をきっかけに犬がwifi環境下のPCに行く。そして記録が自動的にPCに転送されるようにする。
* 後に介護者などがPC上の映像記録から、物の置き場所や会話の記録を再生し、確認できるようにする。遠隔でも閲覧可能のようにする。将来的には画像認識などで、目的の映像が迅速に抽出できるようにする。

5 手順支援
△ ある場所や家電製品でいつも同じ失敗をする飼い主も多い。その場所などに接近センサーなどを設置し、飼い主が近づいた時に音をだす。例えば、飼い主が洗濯器のそばに行ったら特定の音がでるようにする。犬はその音を聞きつけて駆け寄り、あらかじめ書いておいた注意書きなどを見せる。
* あるいは、特定の音をきっかけに使用手順が載っている画面を起動させる。犬はその画面を飼い主に見せて、手順の動画などを確認してもらう。
* 季節がわからなく、何を着て良いか迷う飼い主も多い。このような時、犬が予定起床時間に飼い主のそばに行き、一定時間ごとに介護者が用意した着替えの服を順番に渡してもよい。その際、「今は8月で暑いから、これで十分です」などと機器から音声を出す。

6 見守り支援
△ 高齢者では心臓発作や脳卒中などを突発的に起こすことも多い。一定時間ごとに犬が飼い主に近寄り、PC画面上の安否の確認ボタンを押してもらう。飼い主のタッチや返答がない時は、離れた介護者などに自動的に連絡できるようにする。
△ 無断外出する時間などが決まっていたら、その時間に音を流し、玄関先などで控えてもらう。玄関を塞ぐと同時に映像や音声を出し、説得したり、注意をそらす。
* 外出時間が不特定な場合は、足ふみマットなどの特有音をPCに認識させ、同様な刺激を画面から呈示する。
* それでも外出した場合は、犬も同行する。そして、あらかじめ犬につけておいたGPSで、常に居場所を介護者に知らせる。一定時間後特定の音や声を送ると、犬が先導して家に帰るようにする。
△ 散歩で飼い主が転倒した時などは、家に駆け込んで知らせる。あるいは、搭載のカメラで常時歩行状況を遠隔の介護者に知らせる。
△ 犬が不審者や不審音などに対し吠えだしたら、その音圧を感知して、自動的にカメラを起動する。かつ離れた支援者にそれを通知する。介護者は犬に登載したカメラで状況を確認し、スピーカーから不審者などと応対する。
* 飼い主がある行動をしたら、例えば怒って大声を出したら、飼い主のそばに行く。同時に搭載のPCの音圧センサーが作動して、介護者や支援者からの録画メッセージや好みの歌の呈示、さらにはテレビ電話をかけ、気の合う仲間と会話をしてもらう。
* 犬が飼い主の表情や行動を観察し、不安表情や探し物をしている行動を捉えたら、適切な情報呈示をする。例えば、「お金は子供が預かっているので、心配はありません」などと表出する。
* 風呂水の流失音、鍋の空焚音やその臭いの検知、火事の光や熱、ガス漏れの検知などは、従来の介助犬が行ってきた仕事である。これらを検知した際、遠隔を含めて周囲に適切に通知できるようにする。 

7 物の検索回収支援
△ 犬の嗅覚を利用して、よくなくす物を探索させる。事前に特殊な臭いを特定の物、例えばメガネにつけておく。あるいは物、言葉、臭いをセットで覚えさせ、言葉だけで物を持ってこれるようにする。例えば、「財布」という言葉で財布を探してこれるようにする。
△ 毎朝、設定時にスマホなどを飼い主まで持ってゆき携行を促す。夜は逆に回収に行き、それを充電器のそばに置いて、充電する。
△ 飼い主の外出を悟ったら、事前に用意した持ち忘れチェックリストなどをくわえてきて、持ち忘れの確認を促す。
* 忘れやすい物を決まったところにしまう。例えば、A臭いのそばにはA臭いのついた財布、B臭いのそばにはB臭いの着いた鍵などを置く。汚れた下着などは洗濯機や脱衣かごに入れるようにする。
* 農作業など道具が散在しやすい作業終了時には、それらの道具を集めてくる。回収すべき道具にはあらかじめ特定の臭いを付けておく。

8 誘導支援
△ 中度以下の認知症者では、屋内のトレイが探せない、あるいは尿の溜まりを自覚できないなどが生じる。そこで、一定間隔ごとのアラーム音で、犬が飼い主をタッチして、トイレなどに誘導する。
△ 日課の遂行に意欲が出ない飼い主も多い。日課遂行予定時のアラーム音が出た際、犬は飼い主をタッチして、表出された音声ともに行動を促す。

9 施設内支援
○ デイなどの施設で、集団相手の活動も行う。主に癒しの提供をする。利用者に犬の世話をしてもらえば、生きがいにもなる。
△ 施設の利用者各人にICタグをつけ、犬にその読み取りセンサーを搭載する。犬が利用者に接近したとき、特定の利用者に応じた声かけ、情報、コンテンツの提供をする。利用者の間を回りながら声かけし、雰囲気を盛り上げる。
△ 各人別に違うアラーム音や音声を設定時間に出し、トイレ、食堂、浴室などに誘導する。
△ 出口に常時座り、接近者に癒しや情報を提供することで、無断外出を防止する。あるいは登載した接近センサーが作動、施設の職員に遠隔で知らせる。
△ エージェントシステムを搭載すれば、犬がグループの司会者になり、発言が途切れた秒数を検知して、参加者に順に質問したりする。
* カラオケシステムを搭載すれば、司会役として歌の題名を音声認識し、伴奏音を出すこともできよう。曲にあわせて、犬がダンスなどもできるとさらに良い。
* 歩行不安定者の見守りとして、立ち上がりなどを観察したら、吠えて知らせるなどで思いとどまってもらう。