認知症支援犬を育てる会のホームページへようこそ!
私たちは、ICT機器を犬に装着してもらい、認知症の方の生活支援ができないだろうかと考えています。このホームページは認知症の方や家族を始めとして、医療、介護、工学、動物訓練士などの関係者、さらには犬の愛好家やボランティアの方に、認知症補助犬による支援や育成のための提案をすることを目的にしています。
できるだけ多くの方にここで提案したような支援法を試みてもらい、その結果をご意見掲示板に公表してもらい、さらによりよい方法を皆で考えていきたいと思います。ぜひ皆さん、参加して下さい。
このホームページは「認知症補助犬を育てるホームページ」を改名したものです。
代表 安田 清
会員 桑原教彰 中村雅巳 森本一成 中山功一 大島千佳 青江順一 馬場善子 高橋瑞穂 清藤八郎
青江真吾 林一喜 白銀大二 鵜野利之 山崎正人 近藤桃子 嶋根歌子 西本一志 佐野睦夫
久しぶりに、ニュースを挙げます。
2018年10月上旬、エスコアール社より「MCI・認知症のリハビリテーション:Assisitive Technology]を刊行します。その中で、この認知症支援犬の紹介もします。ぜひご覧ください。近くアマゾンからも取り寄せができると思います。
さらに、育成ボランテンティアの方が、3つの動画をユーチューブに上げてくれました。実際に認知症の方を支援したものではありませんが(モデル犬としました)、イメージは捉えられると思います。犬がICレコーダーの音をきっかけに対象者に「日記を促す」、「物を取ってくる」、「薬の飲むことを促す」「認知症支援犬」で検索してください。動画の前後に方法などを開設頁をつけました。
認知症支援犬 日記を促すhttps://www.youtube.com/watch?v=HTepcoRomtA
認知症支援犬 物を取ってくる
https://www.youtube.com/watch?v=f6PBsN48Ico
認知症支援犬 服薬と歌を聴くことをすすめる
https://www.youtube.com/watch?v=9pDSuwCUPeQ
2018年10月上旬、エスコアール社より「MCI・認知症のリハビリテーション:Assisitive Technology]を刊行します。その中で、この認知症支援犬の紹介もします。ぜひご覧ください。近くアマゾンからも取り寄せができると思います。
さらに、育成ボランテンティアの方が、3つの動画をユーチューブに上げてくれました。実際に認知症の方を支援したものではありませんが(モデル犬としました)、イメージは捉えられると思います。犬がICレコーダーの音をきっかけに対象者に「日記を促す」、「物を取ってくる」、「薬の飲むことを促す」「認知症支援犬」で検索してください。動画の前後に方法などを開設頁をつけました。
認知症支援犬 日記を促すhttps://www.youtube.com/watch?v=HTepcoRomtA
認知症支援犬 物を取ってくる
https://www.youtube.com/watch?v=f6PBsN48Ico
認知症支援犬 服薬と歌を聴くことをすすめる
https://www.youtube.com/watch?v=9pDSuwCUPeQ
佐賀大の大島さんを筆頭に以下の英語論文が出版されました。これも皆様のおかげです。研究自体は,まだまだこれからですが、今後も皆で協力して進展さ
せていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします.
論文の本文は(PDF)は下記からダウンロードできます.
http://thesai.org/Publications/ViewPaper?Volume=6&Issue=1&Code=IJACSA&SerialNo=24
論文情報
Chika Oshima, Kiyoshi Yasuda, Toshiyuki Uno, Kimie Machishima, Koichi Nakayama
Give a Dog ICT Devices: How Smartphone-Carrying Assistance Dogs May Help People with Dementia,
International Journal of Advanced Computer Science and Applications(IJACSA), Volume 6 Issue 1,pp.168-176, 2015.
サマリー(Abstract)は次のとおりです。
People with dementia suffer from memory loss,speech disabilities, and many other problems. A smartphone
could benefit them, because it offers functions and applications that may alleviate their disabilities. However, some people with dementia refuse to carry a smartphone. Many of them dislike doing the tasks ordered by such devices due to a lack of psychological interaction. Therefore, we are exploring the concept of having a dog carry a smartphone on its back to assist these people with their daily lives. In this paper, we first show that,with a little training, a dog can be made to run to its owner when the smartphone on its back emits an alarm. This result
suggeted that the concept will allow applications and devices for the people with dementia to become the more useful things of their daily lives. Then, we propose an application wherein people with mild cognitive impairment can be reminded what they were going to do a few minutes ago. We also propose a support method using a vibration-sensing device that causes a dog to run up to its severe-dementia person who is trying to open a door to go outside.
Finally, we describe an experiment that examined how a person with dementia might respond to a dog who “talks” to them. (Of course, the talker was a person at a different location speaking through the smartphone on the dog’s back.) These suggestions and the results of the experiment show that, with the help of a dog, a smartphone can offer better assistance for dementia patients.
また,大島さんと安田が執筆した,日本語による3ページの解説記事も今年の6
月に,「情報処理学会」という会誌に掲載される予定です.
せていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします.
論文の本文は(PDF)は下記からダウンロードできます.
http://thesai.org/Publications/ViewPaper?Volume=6&Issue=1&Code=IJACSA&SerialNo=24
論文情報
Chika Oshima, Kiyoshi Yasuda, Toshiyuki Uno, Kimie Machishima, Koichi Nakayama
Give a Dog ICT Devices: How Smartphone-Carrying Assistance Dogs May Help People with Dementia,
International Journal of Advanced Computer Science and Applications(IJACSA), Volume 6 Issue 1,pp.168-176, 2015.
サマリー(Abstract)は次のとおりです。
People with dementia suffer from memory loss,speech disabilities, and many other problems. A smartphone
could benefit them, because it offers functions and applications that may alleviate their disabilities. However, some people with dementia refuse to carry a smartphone. Many of them dislike doing the tasks ordered by such devices due to a lack of psychological interaction. Therefore, we are exploring the concept of having a dog carry a smartphone on its back to assist these people with their daily lives. In this paper, we first show that,with a little training, a dog can be made to run to its owner when the smartphone on its back emits an alarm. This result
suggeted that the concept will allow applications and devices for the people with dementia to become the more useful things of their daily lives. Then, we propose an application wherein people with mild cognitive impairment can be reminded what they were going to do a few minutes ago. We also propose a support method using a vibration-sensing device that causes a dog to run up to its severe-dementia person who is trying to open a door to go outside.
Finally, we describe an experiment that examined how a person with dementia might respond to a dog who “talks” to them. (Of course, the talker was a person at a different location speaking through the smartphone on the dog’s back.) These suggestions and the results of the experiment show that, with the help of a dog, a smartphone can offer better assistance for dementia patients.
また,大島さんと安田が執筆した,日本語による3ページの解説記事も今年の6
月に,「情報処理学会」という会誌に掲載される予定です.
発表報告 大島
「第28回人工知能学会全国大会(2014年5月12日-15日,愛媛)」及び,「国際会議 HCI International 2014 (22-27 June 2014, Creta,Greece)」にて発表を行いました.
どちらの会議でも,「犬にICTデバイスをつける」という発想はいったいどなたが!?と,尋ねられ,改めて安田先生のご提案のユニークさが際立ちました.以下,研究の概要と,戴いたご意見や質問についてご報告いたします.
犬にスマートフォンを装着することで,認知症者などの記憶障害をもたれている方の支援を目指しています.スマートフォンが必要な情報を記憶し,犬がその情報を飼い主に届けます.たとえば,服薬時刻になるとスマートフォンが鳴ります.すると,犬が薬とスマートフォンを飼い主のところに運びます.かわいい飼い犬が薬を運んできてくれるので,飼い主は犬の癒し効果で気持ち良く服薬できるでしょう.また,認知症者がスマートフォンを置き忘れて困ることもありません.
スマートフォンを,犬が担ぐことによる有用性を調べるために,協力者1名(50歳代の女性健常者)とその飼い犬による事例研究(ケーススタディ)を行いました.普通の飼い犬(トイプードル,5歳,メス)でも,たった3日間の訓練で,背中に乗せたスマートフォンが鳴ると,主人(協力者)のもとへ駆けつけるようになりました.1日1回の訓練を1ヶ月続けた後に,5日間の事例研究を行いました.背中に乗せたスマートフォンのアラームが鳴った17回中,15回(88%)で,犬が主人のもとに向かいました.リビングの薬箱の位置に置いたスマートフォン(比較対照)のアラームが鳴った場合に,協力者が気がついた回数は17回中,9回でした.よって,犬がスマートフォンを担いで確実に持ってくれば,飲み忘れが減少すると思います.
今回は,犬がたった3日間の訓練で,アラームが鳴ると主人のもとに駆けつけたという事例(犬の性格などにより異なると思います)が得られたことや,犬がスマートフォンを担いだ方が薬の飲み忘れが減ることが示唆されたことに,意義がある事例研究となりました.
質疑応答の時間には,「犬にデバイスを取り付けることに対し,主人がかわいそうだと思うのではないか?」「スマートフォンにこだわる必要はないのですよね?」「認知症者に犬のトレーニングは無理ではないか?」など,数多くの質問を頂戴しました.将来的には,「認知症と診断されたら,飼い犬に訓練を開始しよう!」と広めたいですが,認知症者の家族でも今回のような「音が鳴ったら主人のもとへ」というトレーニングでも難しい場合があります.飼い主と犬との関係が,トレーニングの成功と深く関わりがあるためです.そのような場合には,短期間でもプロのトレーナーに預ける方が良いと思っております.また,犬に取り付けるものは,スマートフォンとは限らず,RFIDのタグ,加速度センサ,小型カメラ,薬,水などを,犬の大きさに合わせて組み合わせることを想定しています.犬に大きな負担をかけないことが大前提で,毎日少しずつ担ぐ訓練をして,可能なデバイスで犬に支援を行ってもらいたく思います.
また,音声の研究をしている研究者からは,「犬ならば,階段があってものぼって,ご主人様のもとへ行ける」という点に,甚く感動されました.ロボットを数多く作っている研究者からは,ロボットと(認知科学的に?)比較してみたいと言われました.(本研究担当:大島千佳,中山功一,安田清他)
2014年8月1日
犬が担いだスマートフォンによるデイサービス利用者との対話
先週,あけぼのデイサービスの愛犬「ひめちゃん(ポメラニアン)」に,スマートフォンを担いでもらい,遠隔の携帯電話と通話状態にして,デイサービスの利用者の皆様との会話を試みました.ちょうど皆様が散歩から帰ってくる時間だったため,野外でお出迎えをしました.野外の涼しいところで,皆様がおやつを召し上がっているときに,ひめちゃんは真ん中に陣取り,皆様にお声を掛けてもらうと,遠隔の通話者が,日本語で応じました.
戸惑い気味の方,積極的に話しかけてくださる方,ひめちゃんに興味はあるものの発話はなさらない方など,いろいろなご対応が見受けられました.軽度の認知症の方は,おそらく「犬がしゃべっているわけではない」ということを理解なさった上で,話しかけることを楽しまれていました.
また,スマートフォンのスピーカのボリュームを最大限にしても,聞き取りにくいという問題や,犬が背中に担いでいるため,犬の真正面にいる人には音声が聞き取りにくいのみならず,違和感があるだろうという問題がわかりました.
今回は,小型犬のポメラニアンに,約120gのスマートフォンを30分間担いでもらいました.ひめちゃんは嫌がることなく,すぐに立ち上がって歩いてくれましたが,もう少し軽くなると犬への負担が軽減されます.しかし,小型のスピーカをインターネットで検索しても,スマートフォン以上に軽いものは見つかりませんでした.
また,今回は数時間にわたり,犬による支援について議論を行いました.いくつか新しい視点での支援方法が出て,それに伴う,素人でも可能な範囲での犬へのトレーニングについても少し勉強しました.今後,「研究」のアプローチからシステムを作り,またあけぼのデイサービス様で試用したいと考えています.
(本研究担当:大島千佳,安田清,中山功一,あけぼのデイサービス)
「第28回人工知能学会全国大会(2014年5月12日-15日,愛媛)」及び,「国際会議 HCI International 2014 (22-27 June 2014, Creta,Greece)」にて発表を行いました.
どちらの会議でも,「犬にICTデバイスをつける」という発想はいったいどなたが!?と,尋ねられ,改めて安田先生のご提案のユニークさが際立ちました.以下,研究の概要と,戴いたご意見や質問についてご報告いたします.
犬にスマートフォンを装着することで,認知症者などの記憶障害をもたれている方の支援を目指しています.スマートフォンが必要な情報を記憶し,犬がその情報を飼い主に届けます.たとえば,服薬時刻になるとスマートフォンが鳴ります.すると,犬が薬とスマートフォンを飼い主のところに運びます.かわいい飼い犬が薬を運んできてくれるので,飼い主は犬の癒し効果で気持ち良く服薬できるでしょう.また,認知症者がスマートフォンを置き忘れて困ることもありません.
スマートフォンを,犬が担ぐことによる有用性を調べるために,協力者1名(50歳代の女性健常者)とその飼い犬による事例研究(ケーススタディ)を行いました.普通の飼い犬(トイプードル,5歳,メス)でも,たった3日間の訓練で,背中に乗せたスマートフォンが鳴ると,主人(協力者)のもとへ駆けつけるようになりました.1日1回の訓練を1ヶ月続けた後に,5日間の事例研究を行いました.背中に乗せたスマートフォンのアラームが鳴った17回中,15回(88%)で,犬が主人のもとに向かいました.リビングの薬箱の位置に置いたスマートフォン(比較対照)のアラームが鳴った場合に,協力者が気がついた回数は17回中,9回でした.よって,犬がスマートフォンを担いで確実に持ってくれば,飲み忘れが減少すると思います.
今回は,犬がたった3日間の訓練で,アラームが鳴ると主人のもとに駆けつけたという事例(犬の性格などにより異なると思います)が得られたことや,犬がスマートフォンを担いだ方が薬の飲み忘れが減ることが示唆されたことに,意義がある事例研究となりました.
質疑応答の時間には,「犬にデバイスを取り付けることに対し,主人がかわいそうだと思うのではないか?」「スマートフォンにこだわる必要はないのですよね?」「認知症者に犬のトレーニングは無理ではないか?」など,数多くの質問を頂戴しました.将来的には,「認知症と診断されたら,飼い犬に訓練を開始しよう!」と広めたいですが,認知症者の家族でも今回のような「音が鳴ったら主人のもとへ」というトレーニングでも難しい場合があります.飼い主と犬との関係が,トレーニングの成功と深く関わりがあるためです.そのような場合には,短期間でもプロのトレーナーに預ける方が良いと思っております.また,犬に取り付けるものは,スマートフォンとは限らず,RFIDのタグ,加速度センサ,小型カメラ,薬,水などを,犬の大きさに合わせて組み合わせることを想定しています.犬に大きな負担をかけないことが大前提で,毎日少しずつ担ぐ訓練をして,可能なデバイスで犬に支援を行ってもらいたく思います.
また,音声の研究をしている研究者からは,「犬ならば,階段があってものぼって,ご主人様のもとへ行ける」という点に,甚く感動されました.ロボットを数多く作っている研究者からは,ロボットと(認知科学的に?)比較してみたいと言われました.(本研究担当:大島千佳,中山功一,安田清他)
2014年8月1日
犬が担いだスマートフォンによるデイサービス利用者との対話
先週,あけぼのデイサービスの愛犬「ひめちゃん(ポメラニアン)」に,スマートフォンを担いでもらい,遠隔の携帯電話と通話状態にして,デイサービスの利用者の皆様との会話を試みました.ちょうど皆様が散歩から帰ってくる時間だったため,野外でお出迎えをしました.野外の涼しいところで,皆様がおやつを召し上がっているときに,ひめちゃんは真ん中に陣取り,皆様にお声を掛けてもらうと,遠隔の通話者が,日本語で応じました.
戸惑い気味の方,積極的に話しかけてくださる方,ひめちゃんに興味はあるものの発話はなさらない方など,いろいろなご対応が見受けられました.軽度の認知症の方は,おそらく「犬がしゃべっているわけではない」ということを理解なさった上で,話しかけることを楽しまれていました.
また,スマートフォンのスピーカのボリュームを最大限にしても,聞き取りにくいという問題や,犬が背中に担いでいるため,犬の真正面にいる人には音声が聞き取りにくいのみならず,違和感があるだろうという問題がわかりました.
今回は,小型犬のポメラニアンに,約120gのスマートフォンを30分間担いでもらいました.ひめちゃんは嫌がることなく,すぐに立ち上がって歩いてくれましたが,もう少し軽くなると犬への負担が軽減されます.しかし,小型のスピーカをインターネットで検索しても,スマートフォン以上に軽いものは見つかりませんでした.
また,今回は数時間にわたり,犬による支援について議論を行いました.いくつか新しい視点での支援方法が出て,それに伴う,素人でも可能な範囲での犬へのトレーニングについても少し勉強しました.今後,「研究」のアプローチからシステムを作り,またあけぼのデイサービス様で試用したいと考えています.
(本研究担当:大島千佳,安田清,中山功一,あけぼのデイサービス)