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日本身体障害者補助犬学会 発表報告

日本身体障害者補助犬学会 発表報告 安田

2013年10月27日認知症支援犬のアイデアを日本身体障害者補助犬学会で発表しました。そこで、学会参加中に得た一般的な知見、認知症支援犬についての非公式の場での反応、発表後の質問と私の応答、その他の感想などをまとめました。

学会で得た一般的な知見
今の日本は子供が1600万、ペットが2000万。ペットの方が多い。4人 家族を平均とすると1家族にペットが一匹いる割合。
海外では動物理学療法士、動物看護師などは国家資格。日本はまだま  だ。ダックスフントなどの犬は背骨を傷めやすいが、それらのリハビ リもほとんどない。 
帯広畜産大学の研究によると、盲導犬訓練後の試験は合格率が30%。 これを上げるため、盲導犬と盲導犬になれなかった犬の遺伝子を調べ た。すると性格適正遺伝子に差があった。これを指標にすれば約70- 80%の確率で、盲導犬になれるかどうかが事前にわかる可能性がある とのこと。
聴導犬は音に鈍い犬を使う。鋭すぎると雑音で疲れてしまう。
盲導犬は10歳で引退させる。11歳を超えると認知症になる犬がいる。 10歳以前に認知症を発症する犬はいない。
犬が認知症かを見る検査はある。例えば、餌を目の前で隠し選択肢を与 えて探させるなど。日常的には今までできていた仕事ができなくなる ようになる。       
盲導犬など引き渡後のアフターケアーが大事だが、人材と予算を要す。

認知症支援犬に関して、非公式の場での反応
認知症支援犬は家庭犬の延長にあるかも。したがって、従来の盲導犬な どとは育成方法が異なるであろう。できるものもあるのでは。
認知症になりつつある補助犬使用者が、餌をやり過ぎてしまうことがあ る。
使用者が軽度の認知症になっても、犬は敏感に察知する。
犬が財布を室内から探してくることは可能だが、もし外に置き忘れてい たら探せない。その場合、犬は探索に失敗するので困惑する。成功体 験を続けさせることが重要だが、どうか?

発表後の質問と私の応答
補助犬法では使用者が適正に管理する義務がある。認知症ではどうか?
回答 まずは介護者がいる人を優先する。1人暮らしの人では、近所の 犬好きなどに世話をお願いする必要があろう。(施設で施設長のもと で実施という選択肢もあると言うべきだったが、言い忘れました)。
盲導犬使用者で80を超える高齢者が増えてきた。その使用者が認知症に なり、適切に指示できなくなることが出てきた。飼い主の行動を予測 できないため、犬との関係が悪化することがあるが?
回答 そのような例もあるかもしれない。しかし、一方で犬を飼うこと で認知症の人が落ち着いたという話しも数多くある。
 認知症でも軽い人から重い人、いくつかのタイプがある。最近、薬を 飲めば進行は今までよりも遅くなってきた印象がある。急激に悪化し なければ認知症の方にも適応できよう。試行していくうちに、どのタ イプや重症度に適するか明らかになろう。薬と同じで万人に使えるも のはない。
まとめ 
5分間の質疑応答では、学会の参加者全体の賛否の反応がよくわからな かったというのが実感です。ただ、発表以外の場所での感触は決して 悪くはなかった印象です。

その他の感想や考え
補助犬使用者が認知症になった場合、犬に対してどういう点が困難にな るのか、ぜひ知りたい。

機器を使って認知症を支援するという考え自体が、まだ日本ではほとん ど認知されていない。その中で、犬に機器を背負わせて支援するとい う考えがすぐに受け入れられないのはなおさらであろう。順序から言 えば、機器支援の使用が広まり、その後それらを犬に登載という順か もしれない。

盲導犬は、視覚、聴導犬は聴覚、介助犬は手足、のように、今までの補 助犬は脳機能で言えば抹消の感覚や手足の代行をおこなってきた。認 知症支援犬は、主に記憶という高次の機能を代行するものである。た だ、私としては、記憶は高次と言うよりは高次の判断のためのデータ です。認知症のひとは財布がないというデータから、だれか盗んだと いう高次の判断をしてしまう。つまり適切なデータを提供すること  で、認知症がかなり支援できるのでは、という立場です。

盲導犬などの補助犬は健康脳を持ち、しかも犬の指導とケアーができる 人を使用者としてきました。一方、認知症支援犬は、脳に障害をも  ち、犬をうまく指導できない、ケアーできない可能性のある人を最初 から想定している。ここが、従来の補助犬と根本的に違うところで  は?

介助犬は、物を拾う、持ってくる、使用者の体(物体)を支える、車椅 子などを引っ張るなどの物の処理を行う。もちろん、事前に探すもの や行う行為は事前で決めておく。ただし、実際の行為は使用者の命令 があってから、行う。前提として物体がどこにあるか使用者がしって いることが前提。例:「冷蔵庫にはジュースがある。取ってきて」。

盲導犬は道路上の歩行をさえぎるような空間的情報を教える。もちろん 事前に教えてほしい情報は訓練士から教えておく。例えば、角に道が あることを自主的に使用者に知らせる。ただし、どっちを進むかは使 用者が決定。使用者が脳内に地図をもっていることを前提。

聴導犬はあらかじめ知らすべき目標音を決めておき(雑音など知らさな い音も決めておき)、その音がしたら犬が自主的に知らせる。

一方、認知症支援犬も事前にやってほしいことは、本人、家族、あるい は関係者の意思で決定する。これは他とかわらない。物体の探索、こ れは物体がどこにあるかわからない前提で行われる。これが他の補助 犬の前提と異なる(警察犬に近い?)、時間や用件情報の提供、これ も他の補助犬の使用者が、そろそろ街角があるなどと予想できるに比 較し、それを忘れていることが前提。

まとめると、本人が予想していない(忘れている)といいうことが認知 症支援犬の前提となる。さらに、本人自身が望んでいない心理状況が あるが、自身ではかえられない状況のなかで、犬自身や、搭載してい るIT機器が提供するエンタメで、望んでいた心理状態への誘導支援を 行うなどが考えられる。

認知症支援犬は使用者に過ちが予想されるので、専門家による訓練後で も不測の事態は起こりうる。この点は普通の家庭犬と同様である。す ると、家庭犬が公共の施設や乗り物、食堂に入れないという同じ条件 になる。そこで、支援犬を引き渡す時はその旨、はっきりと文書で責 任は飼い主にあると明示するのが良いと思われる。それでも、リスク よりは利益の方が多いと判断する認知症使用者や介護者は多いであろ う。それは、癒し犬としてだけでも有効だからである。

日本には認知症が新聞によれば460万、世界ではそのうち1億、これら の人は本当に困ってる。このような中、すべての人はそれぞれの領域 で、認知症に苦しむ人や家族に手を差し伸べなければならないと思  う。理由の一つは、親や兄弟、そして自身も認知症になる可能性が高 いからである。

支援犬の効果が仮に10人に一人としても、日本では46万人の支えにな る。世界では1000万人の支えになる。補助犬学会の皆さんのご理解 をご協力をお願いしたい。



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