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認知症支援犬を育てる会のホームページへようこそ!

私たちは、ICT機器を犬に装着してもらい、認知症の方の生活支援ができないだろうかと考えています。このホームページは認知症の方や家族を始めとして、医療、介護、工学、動物訓練士などの関係者、さらには犬の愛好家やボランティアの方に、認知症補助犬による支援や育成のための提案をすることを目的にしています。
できるだけ多くの方にここで提案したような支援法を試みてもらい、その結果をご意見掲示板に公表してもらい、さらによりよい方法を皆で考えていきたいと思います。ぜひ皆さん、参加して下さい。
このホームページは「認知症補助犬を育てるホームページ」を改名したものです。


代表 安田 清
会員 桑原教彰 中村雅巳 森本一成 中山功一 大島千佳 青江順一 馬場善子 高橋瑞穂 清藤八郎 
   青江真吾 林一喜 白銀大二 鵜野利之 山崎正人 近藤桃子 嶋根歌子 西本一志 佐野睦夫

更新履歴
最近のお知らせ - 大島さんらの英語の論文が出版されました
2015年02月10日
佐賀大の大島さんを筆頭に以下の英語論文が出版されました。これも皆様のおかげです。研究自体は,まだまだこれからですが、今後も皆で協力して進展さ
せていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします.
論文の本文は(PDF)は下記からダウンロードできます.

http://thesai.org/Publications/ViewPaper?Volume=6&Issue=1&Code=IJACSA&SerialNo=24

論文情報
Chika Oshima, Kiyoshi Yasuda, Toshiyuki Uno, Kimie Machishima, Koichi Nakayama

Give a Dog ICT Devices: How Smartphone-Carrying Assistance Dogs May Help People with Dementia,

International Journal of Advanced Computer Science and Applications(IJACSA), Volume 6 Issue 1,pp.168-176, 2015.

サマリー(Abstract)は次のとおりです。
People with dementia suffer from memory loss,speech disabilities, and many other problems. A smartphone
could benefit them, because it offers functions and applications that may alleviate their disabilities. However, some people with dementia refuse to carry a smartphone. Many of them dislike doing the tasks ordered by such devices due to a lack of psychological interaction. Therefore, we are exploring the concept of having a dog carry a smartphone on its back to assist these people with their daily lives. In this paper, we first show that,with a little training, a dog can be made to run to its owner when the smartphone on its back emits an alarm. This result
suggeted that the concept will allow applications and devices for the people with dementia to become the more useful things of their daily lives. Then, we propose an application wherein people with mild cognitive impairment can be reminded what they were going to do a few minutes ago. We also propose a support method using a vibration-sensing device that causes a dog to run up to its severe-dementia person who is trying to open a door to go outside.
Finally, we describe an experiment that examined how a person with dementia might respond to a dog who “talks” to them. (Of course, the talker was a person at a different location speaking through the smartphone on the dog’s back.) These suggestions and the results of the experiment show that, with the help of a dog, a smartphone can offer better assistance for dementia patients.

また,大島さんと安田が執筆した,日本語による3ページの解説記事も今年の6
月に,「情報処理学会」という会誌に掲載される予定です.
発表報告  大島

「第28回人工知能学会全国大会(2014年5月12日-15日,愛媛)」及び,「国際会議 HCI International 2014 (22-27 June 2014, Creta,Greece)」にて発表を行いました.

どちらの会議でも,「犬にICTデバイスをつける」という発想はいったいどなたが!?と,尋ねられ,改めて安田先生のご提案のユニークさが際立ちました.以下,研究の概要と,戴いたご意見や質問についてご報告いたします.

犬にスマートフォンを装着することで,認知症者などの記憶障害をもたれている方の支援を目指しています.スマートフォンが必要な情報を記憶し,犬がその情報を飼い主に届けます.たとえば,服薬時刻になるとスマートフォンが鳴ります.すると,犬が薬とスマートフォンを飼い主のところに運びます.かわいい飼い犬が薬を運んできてくれるので,飼い主は犬の癒し効果で気持ち良く服薬できるでしょう.また,認知症者がスマートフォンを置き忘れて困ることもありません.

スマートフォンを,犬が担ぐことによる有用性を調べるために,協力者1名(50歳代の女性健常者)とその飼い犬による事例研究(ケーススタディ)を行いました.普通の飼い犬(トイプードル,5歳,メス)でも,たった3日間の訓練で,背中に乗せたスマートフォンが鳴ると,主人(協力者)のもとへ駆けつけるようになりました.1日1回の訓練を1ヶ月続けた後に,5日間の事例研究を行いました.背中に乗せたスマートフォンのアラームが鳴った17回中,15回(88%)で,犬が主人のもとに向かいました.リビングの薬箱の位置に置いたスマートフォン(比較対照)のアラームが鳴った場合に,協力者が気がついた回数は17回中,9回でした.よって,犬がスマートフォンを担いで確実に持ってくれば,飲み忘れが減少すると思います.

今回は,犬がたった3日間の訓練で,アラームが鳴ると主人のもとに駆けつけたという事例(犬の性格などにより異なると思います)が得られたことや,犬がスマートフォンを担いだ方が薬の飲み忘れが減ることが示唆されたことに,意義がある事例研究となりました.

質疑応答の時間には,「犬にデバイスを取り付けることに対し,主人がかわいそうだと思うのではないか?」「スマートフォンにこだわる必要はないのですよね?」「認知症者に犬のトレーニングは無理ではないか?」など,数多くの質問を頂戴しました.将来的には,「認知症と診断されたら,飼い犬に訓練を開始しよう!」と広めたいですが,認知症者の家族でも今回のような「音が鳴ったら主人のもとへ」というトレーニングでも難しい場合があります.飼い主と犬との関係が,トレーニングの成功と深く関わりがあるためです.そのような場合には,短期間でもプロのトレーナーに預ける方が良いと思っております.また,犬に取り付けるものは,スマートフォンとは限らず,RFIDのタグ,加速度センサ,小型カメラ,薬,水などを,犬の大きさに合わせて組み合わせることを想定しています.犬に大きな負担をかけないことが大前提で,毎日少しずつ担ぐ訓練をして,可能なデバイスで犬に支援を行ってもらいたく思います.

また,音声の研究をしている研究者からは,「犬ならば,階段があってものぼって,ご主人様のもとへ行ける」という点に,甚く感動されました.ロボットを数多く作っている研究者からは,ロボットと(認知科学的に?)比較してみたいと言われました.(本研究担当:大島千佳,中山功一,安田清他)


2014年8月1日

犬が担いだスマートフォンによるデイサービス利用者との対話

先週,あけぼのデイサービスの愛犬「ひめちゃん(ポメラニアン)」に,スマートフォンを担いでもらい,遠隔の携帯電話と通話状態にして,デイサービスの利用者の皆様との会話を試みました.ちょうど皆様が散歩から帰ってくる時間だったため,野外でお出迎えをしました.野外の涼しいところで,皆様がおやつを召し上がっているときに,ひめちゃんは真ん中に陣取り,皆様にお声を掛けてもらうと,遠隔の通話者が,日本語で応じました.

戸惑い気味の方,積極的に話しかけてくださる方,ひめちゃんに興味はあるものの発話はなさらない方など,いろいろなご対応が見受けられました.軽度の認知症の方は,おそらく「犬がしゃべっているわけではない」ということを理解なさった上で,話しかけることを楽しまれていました.

また,スマートフォンのスピーカのボリュームを最大限にしても,聞き取りにくいという問題や,犬が背中に担いでいるため,犬の真正面にいる人には音声が聞き取りにくいのみならず,違和感があるだろうという問題がわかりました.

今回は,小型犬のポメラニアンに,約120gのスマートフォンを30分間担いでもらいました.ひめちゃんは嫌がることなく,すぐに立ち上がって歩いてくれましたが,もう少し軽くなると犬への負担が軽減されます.しかし,小型のスピーカをインターネットで検索しても,スマートフォン以上に軽いものは見つかりませんでした.

また,今回は数時間にわたり,犬による支援について議論を行いました.いくつか新しい視点での支援方法が出て,それに伴う,素人でも可能な範囲での犬へのトレーニングについても少し勉強しました.今後,「研究」のアプローチからシステムを作り,またあけぼのデイサービス様で試用したいと考えています.
(本研究担当:大島千佳,安田清,中山功一,あけぼのデイサービス)
日本身体障害者補助犬学会 発表報告 安田

2013年10月27日認知症支援犬のアイデアを日本身体障害者補助犬学会で発表しました。そこで、学会参加中に得た一般的な知見、認知症支援犬についての非公式の場での反応、発表後の質問と私の応答、その他の感想などをまとめました。

学会で得た一般的な知見
今の日本は子供が1600万、ペットが2000万。ペットの方が多い。4人 家族を平均とすると1家族にペットが一匹いる割合。
海外では動物理学療法士、動物看護師などは国家資格。日本はまだま  だ。ダックスフントなどの犬は背骨を傷めやすいが、それらのリハビ リもほとんどない。 
帯広畜産大学の研究によると、盲導犬訓練後の試験は合格率が30%。 これを上げるため、盲導犬と盲導犬になれなかった犬の遺伝子を調べ た。すると性格適正遺伝子に差があった。これを指標にすれば約70- 80%の確率で、盲導犬になれるかどうかが事前にわかる可能性がある とのこと。
聴導犬は音に鈍い犬を使う。鋭すぎると雑音で疲れてしまう。
盲導犬は10歳で引退させる。11歳を超えると認知症になる犬がいる。 10歳以前に認知症を発症する犬はいない。
犬が認知症かを見る検査はある。例えば、餌を目の前で隠し選択肢を与 えて探させるなど。日常的には今までできていた仕事ができなくなる ようになる。       
盲導犬など引き渡後のアフターケアーが大事だが、人材と予算を要す。

認知症支援犬に関して、非公式の場での反応
認知症支援犬は家庭犬の延長にあるかも。したがって、従来の盲導犬な どとは育成方法が異なるであろう。できるものもあるのでは。
認知症になりつつある補助犬使用者が、餌をやり過ぎてしまうことがあ る。
使用者が軽度の認知症になっても、犬は敏感に察知する。
犬が財布を室内から探してくることは可能だが、もし外に置き忘れてい たら探せない。その場合、犬は探索に失敗するので困惑する。成功体 験を続けさせることが重要だが、どうか?

発表後の質問と私の応答
補助犬法では使用者が適正に管理する義務がある。認知症ではどうか?
回答 まずは介護者がいる人を優先する。1人暮らしの人では、近所の 犬好きなどに世話をお願いする必要があろう。(施設で施設長のもと で実施という選択肢もあると言うべきだったが、言い忘れました)。
盲導犬使用者で80を超える高齢者が増えてきた。その使用者が認知症に なり、適切に指示できなくなることが出てきた。飼い主の行動を予測 できないため、犬との関係が悪化することがあるが?
回答 そのような例もあるかもしれない。しかし、一方で犬を飼うこと で認知症の人が落ち着いたという話しも数多くある。
 認知症でも軽い人から重い人、いくつかのタイプがある。最近、薬を 飲めば進行は今までよりも遅くなってきた印象がある。急激に悪化し なければ認知症の方にも適応できよう。試行していくうちに、どのタ イプや重症度に適するか明らかになろう。薬と同じで万人に使えるも のはない。
まとめ 
5分間の質疑応答では、学会の参加者全体の賛否の反応がよくわからな かったというのが実感です。ただ、発表以外の場所での感触は決して 悪くはなかった印象です。

その他の感想や考え
補助犬使用者が認知症になった場合、犬に対してどういう点が困難にな るのか、ぜひ知りたい。

機器を使って認知症を支援するという考え自体が、まだ日本ではほとん ど認知されていない。その中で、犬に機器を背負わせて支援するとい う考えがすぐに受け入れられないのはなおさらであろう。順序から言 えば、機器支援の使用が広まり、その後それらを犬に登載という順か もしれない。

盲導犬は、視覚、聴導犬は聴覚、介助犬は手足、のように、今までの補 助犬は脳機能で言えば抹消の感覚や手足の代行をおこなってきた。認 知症支援犬は、主に記憶という高次の機能を代行するものである。た だ、私としては、記憶は高次と言うよりは高次の判断のためのデータ です。認知症のひとは財布がないというデータから、だれか盗んだと いう高次の判断をしてしまう。つまり適切なデータを提供すること  で、認知症がかなり支援できるのでは、という立場です。

盲導犬などの補助犬は健康脳を持ち、しかも犬の指導とケアーができる 人を使用者としてきました。一方、認知症支援犬は、脳に障害をも  ち、犬をうまく指導できない、ケアーできない可能性のある人を最初 から想定している。ここが、従来の補助犬と根本的に違うところで  は?

介助犬は、物を拾う、持ってくる、使用者の体(物体)を支える、車椅 子などを引っ張るなどの物の処理を行う。もちろん、事前に探すもの や行う行為は事前で決めておく。ただし、実際の行為は使用者の命令 があってから、行う。前提として物体がどこにあるか使用者がしって いることが前提。例:「冷蔵庫にはジュースがある。取ってきて」。

盲導犬は道路上の歩行をさえぎるような空間的情報を教える。もちろん 事前に教えてほしい情報は訓練士から教えておく。例えば、角に道が あることを自主的に使用者に知らせる。ただし、どっちを進むかは使 用者が決定。使用者が脳内に地図をもっていることを前提。

聴導犬はあらかじめ知らすべき目標音を決めておき(雑音など知らさな い音も決めておき)、その音がしたら犬が自主的に知らせる。

一方、認知症支援犬も事前にやってほしいことは、本人、家族、あるい は関係者の意思で決定する。これは他とかわらない。物体の探索、こ れは物体がどこにあるかわからない前提で行われる。これが他の補助 犬の前提と異なる(警察犬に近い?)、時間や用件情報の提供、これ も他の補助犬の使用者が、そろそろ街角があるなどと予想できるに比 較し、それを忘れていることが前提。

まとめると、本人が予想していない(忘れている)といいうことが認知 症支援犬の前提となる。さらに、本人自身が望んでいない心理状況が あるが、自身ではかえられない状況のなかで、犬自身や、搭載してい るIT機器が提供するエンタメで、望んでいた心理状態への誘導支援を 行うなどが考えられる。

認知症支援犬は使用者に過ちが予想されるので、専門家による訓練後で も不測の事態は起こりうる。この点は普通の家庭犬と同様である。す ると、家庭犬が公共の施設や乗り物、食堂に入れないという同じ条件 になる。そこで、支援犬を引き渡す時はその旨、はっきりと文書で責 任は飼い主にあると明示するのが良いと思われる。それでも、リスク よりは利益の方が多いと判断する認知症使用者や介護者は多いであろ う。それは、癒し犬としてだけでも有効だからである。

日本には認知症が新聞によれば460万、世界ではそのうち1億、これら の人は本当に困ってる。このような中、すべての人はそれぞれの領域 で、認知症に苦しむ人や家族に手を差し伸べなければならないと思  う。理由の一つは、親や兄弟、そして自身も認知症になる可能性が高 いからである。

支援犬の効果が仮に10人に一人としても、日本では46万人の支えにな る。世界では1000万人の支えになる。補助犬学会の皆さんのご理解 をご協力をお願いしたい。